復興ログ

未来の被災地にいるアナタと数十年後のキミたちへ。すべての記録を残します。

5年目の被災地からようやく見えた日本の未来

突然ですが、僕が小学校に上がったぐらいの時に、じぃちゃんからこんなことを言われました。

「おじいさんは、消防(団)で地域のために、がんばってきたから、ひろくんも地域のためにがんばってよ」

酒を飲んで酔っ払っていたものの、心から伝えたい言葉だったのだと思います。そして、小さいながら、とても印象的な言葉だった。そうやって言われたことが本当に嬉しかったのだと思います。家が近所のいとこがいて、みんな年齢も近いこともあり、いつも一緒に遊んでいました。小さな頃から、身近な人に接すること。地域を知る第一歩がこれだったのだと思うのです。小さな頃の思い出です。

地域の誇り

東日本大震災の復興から見え隠れする日本の地方の未来。最も大切なことは「地域の誇り」なのではないでしょうか?そんなことを考えたことがなかったり、そんのことが大切とも思わない人が大多数なのではないでしょうか。誇りはなくても生活には困りません。見えにくいものだからこそ、そこに気がつくことも難しく、また語り合うことも難しく、そこに気がついても声を大きくすることに、ためらいがあるのだと思います。
石巻の交差点ど真ん中で「石巻が好きだ!この街が好きだ」と叫びたくなる(通報されると思うけど。。)そんな思いだと思います。ここに集約されることが「地域の誇り」として一括りに出来ないかもしれませんが、何らかの誇りがあって、いまこの場所にいるのだと思うのです。それを多くの人に問いかけ、きっかけを与えたのが東日本大震災だったのだと思います。ここでやっていく覚悟が誇りとなり、あれから4年が経過しました。
何らかの誇りを持っている人の信念や志は非常に強いものがあり、それが「地域」に向いている人間(ローカリスト)は、ただただ、この街を誇り、何とかするために前進をします。家族や友達、ご近所さんがいるこの街が、本当に大好きなのです。
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石巻市民憲章にも「郷土の誇り」の文字があります。

全ては地域を愛することからはじまる

ローカリストの行動は金銭的なものが大きな判断理由にはならず、我町のことを成し遂げていきます。ここに地域を変え、その果てには日本の地方を変え、日本全体を変えるヒントがあるのだと思います。
震災発生後、復興支援により、ヒト・カネ・モノが被災地へ動きました。4年が経過した今もなお、支援をいただいています。ヒト・カネ・モノの支援がどれだけ被災地で機能しているのか。それが地方創世のポイントだと思うのです。あくまでも地元の人間による「自発的、自律的、自主性」がなければ、外部から知識や技術を供給しても地域で根ざす仕組みにはなりません。
果たして、それ自体が地元の人間、自ら声を上げ、自ら頭と体を使って作り出したものなのかが重要になるのが5年目の復興だと思うのです。決して、外来型開発を否定するわけではなく、取り入れながら地域に合った形にカスタマイズが出来るのも地域の人間でしかないということです。
地域のために自発的、自律的、自主的に信念や志を持って、取り組める力量があるのかどうかが問われるフェーズとなったのです。

志は誰も与えてくれない

NHK大河ドラマにて、吉田松陰が口にしたこの言葉。
志は誰も与えてくれません。
君自身が見つけて、それを掲げるしかありません。
君は、何を志しますか?

志や地域の誇りは人生の道端に落ちていたり、転がっているものではありません。志だからこそ、自分でそれを見つけ出す必要があるのです。

衰退する地方や5年目の復興のキーは地域を愛する人間を作ること。だと思うのです。地域を本気で愛する思いを醸成する必要があり、それもまた、地域を誇りに思うからこその行動や思いなのです。地域を思う芽を見つけて、育てること。
地域社会が回るということはそういったことであり、今こそ世代間継承をする必要があります。これがグローバル化する日本再生のヒントなのではないでしょうか。