復興ログ

未来の被災地にいるアナタと数十年後のキミたちへ。すべての記録を残します。

苦戦するイオン

イオンが苦戦をしているようなのです。昨今の様子を関係者の言葉を交えて記載しています。石巻のイオンもとてつもなく大きいですよね。いったい、イオンに何がおきているのか?小売販売、日本一のイオンを見ることで、日本の流通や地域の姿が見えてきます。

www.nikkei.com

イオンヘビーユーザーです

はじめに言っておくと、あまり用事がないので、行かないけど、イオンは好きです。映画はあるし、服は買わないけど、服はあるし。人がたくさんいるから、祭り感があったり。僕の母は2日に一回はイオンへ行く、ヘビーユーザーです。自然と、イオンで購入した商品が食卓には並び、体の一部がイオン化していると言っても言いすぎじゃないかもしれません。それが故に、イオンがどんな状況なのかは日本の家庭の食卓に影響を与えるものだと思います。

引用した上記の記事は以前から、注目を集めていたイオンの業績不振に対して、ユーザー目線、売り場、イオン社内の状況などを交えて説明をしています。商品力の低下により、客離れが止まらず、自滅に追い込まれたイオンが社内体制の改革に着手した様子を書いています。

イオン社長兼グループCEOの岡田元也氏

2011年イオン傘下となった、四国のスーパー「マルナカ」の事例

 強みとする地元の鮮魚や青果が次第に売り場から減っていく一方で、イオンが本部で調達した生鮮品が増えていった。その結果、一部の商品は価格が上昇。「魚の値段が高くなってきたから他のスーパーに行くようになった」(30代主婦)という声が漏れる。

 

 地元からの調達量が減れば、漁協などへの支配力も低下する。それが、競合スーパーに塩を送る結果となった。

 

 「昔は地元の市場のいい魚は全部マルナカが押さえていた。彼らの購買力が落ちて、我々の仕入れは格段にしやすくなった」(競合スーパー幹部)

 

 さらに追い打ちをかけたのがイオンのPB(プライベートブランド)「トップバリュ」の存在だ。

 

 トップバリュが導入されるにつれて、地元メーカーの品ぞろえは減っていった。「売り場が面白くなくなった」と60代の男性は不満を漏らす。

 

 どの店を、いつ訪れても、“イオン化”された画一的な売り場が続く…。

 

 「前は毎日、買い物に行くのが楽しかったのに」。かつてマルナカを愛用していた50代の主婦は嘆息する。

 僕の体の一部を作っていると言っても過言ではない「トップバリュ」ブランドが購買意欲を作り出せていないのだと言います。

  • 地元の鮮魚や青果が売り場から消えていき、本部が調達をした商品が並ぶことで商品の値上がりが起きたこと
  • トップバリュにより買い物の楽しさが奪われた

一度、うんざりしてしまうと、そこからユーザーを取り戻すのはなかなか大変なことだと思います。実際に聞いた話ですが、石巻のイオンに産直の野菜を卸している、農家さんは、ここでいうところの本部調達の野菜よりも、少し安くして売り場に並べてくる。と言っていました。そして、消費者もそれを分かっているので、そちらから購入していくのだそうです。詳しいことはわかっていませんが、石巻のイオンは地元の商品を絡めながらの対応ができているのかもしれません。

 象徴的なのは、PB商品の取り組みだろう。年々拡大する規模を生かして原料調達や製造委託が有利になれば、より安く、効率的にPB商品を作れるようになる。同時にこれを、拡大するグループ内の売り場で大量に販売することで、収益に大きく貢献するはずだった。

 だが、現実は甘くはない。

 トップバリュの売上高は毎年伸長し、2014年度は約7800億円に達している。半面、総合スーパー事業の営業損益は2011年度以降、急減している。2014年度はついに16億円の赤字に転落。総合スーパー事業は連結売上高の5割近くを占めるが、営業損益ではむしろ足を引っ張る存在だ。

上述のような理由もあり、トップバリュの売上高は伸長しているものの、2014年度は16億円の赤字となっているのだそうです。

効率化と地域別ニーズに対応するということ

 「トップバリュ・ファースト」──。

 

 イオンでは最近まで、こんなスローガンが、千葉・海浜幕張にある本社から、地方の店舗まで共有されていた。

 

 「マクハリの指示通りに売り場を作れば、怒られることはない」。現場にはいつしか、本部任せの体質が染みついていた。トップバリュを売ることが最優先とされる中で、現場は思考停止に陥った。

 

 商品の仕入れや棚割りは“マクハリ本社”が決める、という中央集権体制は、顧客に合わせて品ぞろえや売り場作りを工夫しようという気力を、現場から奪った。仮に売り場の担当者が地元メーカーの商品を仕入れたいと本社に要請しても、実現するまでには煩雑な手続きと時間を要する。

 自社ブランドの展開を徹底することで、グループとしての営業利益確保を期待していのだと思います。マクハリ本社主導で「効率化」することで、日本全体でスケールアップを狙ったものの、それが現場の創意工夫やユーザーニーズへの対応力を奪ってしまう結果となっていたようです。売り場という現場を持っている強みを活かして、非効率でも個別の地域ニーズに答えることが結果としてユーザーニーズを高め、営業利益に跳ね返ってくるのだろうと思います。

イオンの解体と再編

 今回、イオンを「解体」することの狙いは、分断された各機能の距離を縮め、消費環境の変化に迅速に対応し得るように、組織を再構築することにある。

マクハリ本社ではイオンの解体と組織の再構築が進められているのだそうです。事業会社である、地域別のイオンリテールが機能会社である、イオン商品調達とイオントップバリュを吸収するということでグループを再構築することに。

多くの雇用を生み出しているイオンですが、この再編により、消費者と地域によりそった存在になれると良いのではないでしょうか。