復興ログ

未来の被災地にいるアナタと数十年後のキミたちへ。すべての記録を残します。

おかえり仙石線

震災から4年2ヶ月を経てようやく、待ちに待った仙石線が全線開通しました。いつになったら使えるようになるのだろうかと思った4年前。ようやく、復活です。

記念式典

村井嘉浩宮城県知事は「全線再開と仙石東北ラインは地域発展を引っ張る大きな力になる」と復興の加速に期待した。

 

街の人達の復活への思い

 「来た!」。野蒜駅に列車が滑り込むと、集まった住民らから歓声が上がった。東松島市の主婦、木村茂子さん(63)は「電車とバスの乗り継ぎは不便だったので、うれしい」と顔をほころばせた。

 

石巻市不動町の看護師、佐藤和子さん(70)は「自宅も浸水したあの時、4年あまりで元に戻るなんて想像もできなかった。切れていたものがつながって、心もつながったようです」と晴れやかな表情で仙台行きの列車に乗り込んだ。

 

 震災発生時、仙石線に乗っていて当時の野蒜駅付近で被災した野蒜小6年の石井優大(ゆうだい)君(11)は「野蒜に列車がまた走るようになったことが懐かしくて、とてもうれしい」と笑顔をみせた。

 

東京の得意先回りを終え、帰社途中だった石巻市の水産加工会社「ヤマサコウショウ」部長の阿部義美さん(66)は周囲を見て運転士に伝えた。「移動中に津波が来るかもしれない。高台のここが一番安全だ」。阿部さんは元消防団員で土地勘があった。運転士は再度指令室の指示を仰ごうとしたが無線がつながらない。意見を受け入れて車両に残ることを決めた。

 

JR仙石線が4年2カ月ぶりに全線で運行再開した30日、沿線自治体の住民、関係者からは喜びの声があふれた。被災地間の希望をつなぐ鉄路の復活。「待ってたよ」。利用者のさまざまな思いを乗せ、仙石線が再出発した。

復活したが、課題も

 仙石線の1日平均通過人員は、震災前の10年度で2万1450人。全線再開前の13年度でも1万6893人に上り、東北の在来線では東北線(白石-仙台間)、仙山線(仙台-愛子間)に次ぐ需要がある。
 仙石線に加え、特別快速と快速限定の仙石東北ラインが開業した。利便性が向上し、JR東日本は「震災前の利用者数は回復させたい」と意気込む。
 高台に移設した東松島市の東名、野蒜両駅の周辺では、新たな住宅地の整備が進む。16年3月には石巻市蛇田地区近くに新駅「石巻あゆみ野」が設置され、鉄路を核とした復興まちづくりが始まる。
 鉄路復活は一つの大きな節目だが、被災地には「仙台圏への人口流出に歯止めをかけなければ意味がない」との危機感が強い。住環境の整備はもちろん、交流人口の増加や雇用の創出といった地域挙げての取り組みが不可欠だ。

 

映像

 

 

 

 

 

 

復活にあたり

 東日本旅客鉄道(JR東日本)は仙石線の復旧費用を公表していないが、高城町―陸前小野の復旧費については12年時点で約100億円強と見積もっていた。

仙石東北ライン

仙台から新ルートの仙石東北ラインに乗ってみました。

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仙台駅発の仙石東北ラインは2番線ですよ!

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スマホを片手に写真を撮る人が多数いました。

上記記事によると仙石東北ラインは新鋭車両で走行されています。

東北本線と仙石線は、電化方式がそれぞれ交流2万V・直流1500Vと異なるため、JR東日本は両方を直通できる車両としてディーゼル発電機と蓄電池によって走行する「ディーゼルハイブリッドシステム」を搭載した新鋭車両、HB-E210系を導入。

電化方式が異なるために、東北本線の塩釜駅と仙石線の高城町駅の間を架線がない接続線を使って、乗り入れるのですが、その接続線を走れるのがディーゼルハイブリッドということなのだそうです。そして、更に同区間で乗り入れるのには以下のような理由があるようです。

JR東日本東北工事事務所によると、接続線を設ける場所として同区間が選ばれたのは、両線が最も接近する場所であるのはもちろんのこと、石巻に近いことも理由だ。両線が接近する区間は他にもあるが、仙石東北ラインの運転は石巻─仙台間の時間短縮を主眼としているため、駅間が長く列車のスピードが速い東北本線に、石巻側からなるべく早く乗り入れ可能な場所が選ばれたという。

つまり、仙台に近づけば近づくほど、駅が密集する仙石線の路線よりも、駅と駅の間が長い東北本線に早めに乗り入れて、石巻ー仙台間の時間短縮を目的としたためのようなのです。仙石東北ラインの開業が発表されたタイミングで、なぜ、わざわざ乗り入れるのか?疑問に思っていましたが、時間短縮の実現をするために、最新車両を投入したようです。仙石線ユーザには、なかなか見慣れなかった、東北本線沿いの駅を通過することになります。

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高城町の表記はこの通り。

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高城町を過ぎると、今までと変わらない田園風景が広がります。

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海沿いでは今までと変わらない海の様子が広がるものの、防波堤が大きく出来上がっていました。

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野蒜駅に近づくにつれて、震災前とは変わった風景が広がります。

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復活した野蒜駅。メディアや新しい駅を訪れる人であふれていました。

 

インフラがなくなって気がつくこと

「あたりまえ」の「ありがたさ」を感じずにはいられません。なくなってみてあらためて気がつく、今の環境のありがたさ。仙石線の復活により、ようやくモノや情報の行き来が短縮された気がします。あたりまえにある、ありがたさを忘れずに、これからの生活に感謝しながら電車に乗りたいですね!