復興ログ

未来の被災地にいるアナタと数十年後のキミたちへ。すべての記録を残します。

地方で生きるということ

卒業シーズンとなり卒業式の話題を耳にするたびに、どれだけの人間が上京することになるのか気になったりしています。石巻で暮らす僕の従妹も、この春、大学に合格し4月から埼玉で一人暮らしを始めるそうです。親はこの場所に残ることを望んでいたようなのですが。。

僕は母校の高校や中学校のセミナーなどで呼ばる際に生徒の皆さんに「石巻で将来仕事をするのも良いと思います。それと同じぐらい東京で仕事をするのも良いと思います。」とお話をしています。今回、一人暮らしを始めることになる、従妹にもそのようにお話をしました。

東京に出ることの何が良いのか?

好きな仕事ができたり、ビジネス・コミュニケーションスキルが身についたり、いろいろあると思います。僕の場合、新卒入社で東京で仕事をし、3年前に石巻に戻りました。今でも感じていることは、自分の生まれ育った街を「客観視」できるということです。これが一番良かったと思います。この街の良い点や悪い点を一歩引いた視点で見ることができます。

そんな状況で、地域を知れば知るほど、良い所は好きになれるし、ダメなところはダメなところで何とかしなくてはという、地域に対する愛着が生まれます。地方創世がもてはやされ、地方経済が疲弊し続けている日本において、東京への一極集中の課題と共に、「地方 vs. 地方」の戦いが起こっています。ふるさと納税により自治体同士の生き残りをかけた戦いが熱を帯びてきました。

地方で生きる人間にとっては、生き残りをかけた必死な争いが起こっているものの、もしかして、地方や自治体と括るのは、本当に日本のためにならないのかもしれない。そう思う反面。いま、良い所もダメなところも知った地域愛が存在し続けるこの地で、生き続けるにはアイディアや仕組みを作り、それを次の世代へつなげる誰かが必要なのです。地域で生き抜く覚悟や決意がなくては今の日本の仕組みを変えることは出来ないのでしょう。

ローカリストの時代

石巻日日新聞社長の近江さんのインタビュー記事です。

www.asahi.com

以下、インタビュー記事より引用です。

 ――そこまでローカリストに徹しようとするのはなぜですか。

 「ここに自分が生きていた証しを残したい。今やっていることはビジネスではなく、自分の考えたことを浸透させ、伝えるに値するものをつくりたいだけです。百年、二百年続くものを残せるかもしれないと思うとわくわくする。もちろん続けて行くかどうかは、後の世代次第です。都会ではどうしてもお金に人が群がり、自分の思い通りにはできないし、同じことをやる人がたくさんいるので競争しなければならない。地方は無駄な競争や欲求がない分、やりたいことが真っすぐできます」

 ――あきらめムードさえある地方を再生し、日本の姿をも変えていくには、何が必要ですか。

 「新しいものを持って来たり、創り出したりしてもいい。でも本当に必要なのは、その土地その土地で長く伝えられ、伝えていくべきことをきちっと整理し、磨き上げ、理解して未来につなげること。野心を持ってそれをやり抜く覚悟のある若い人材と、しくみが必要だと思います。女川町は日本創成会議の推計で人口減少率の極めて高い消滅可能性都市とされましたが、未来への挑戦はこれから。楽しみですね」

あなたは、あなたの街の歴史や、おいしい食べ物、他の街に自慢が出来るスポットや首都圏へ誇れるものを知っていますか?先代・先々代が私達に残し続けてくれたものを知っていますか?すべての街には歴史があり、それを伝えてきてくれた人が存在しています。伝えられてきた「文化」には必ずその理由があります。その時代、その時代で残したことには先代の思いが詰まっているのです。

母校の中学校で「石巻の好きなところは何ですか?」と生徒に質問されたことがあります。僕は「牡蠣と川開きです」と応えました。牡鹿半島を中心として養殖されている牡蠣は先代が地域に残してくれた貴重な資産です。また、川開き祭りは先代が私達に残してくれた立派な文化です。先代たちの思い継承し、時代に合ったカスタマイズをしながら次世代へつなぐ。そして、後世へ渡せる仕組みづくりをすることの大切さをインタビュー記事から感じました。

これから必要なこと

小学校の授業では日本の歴史と地域の歴史を勉強した記憶があります。やはり、あの授業には意味があり、地域資源の大切さを学ぶものだったのだろう思います。地方で生きるということは、その地域の歴史を知るということであり、その歴史に関わるということになります。先代がその地域に残してくれたものを磨き上げること。地域と向き合うことで、その価値が高まる(可能性がある)ということだと思います。

まずは、先代から授かった地域の歴史をしっかりと見つめなおしたいと思います。街の歴史に興味が持てたなら、その歴史と向き合ってみてくださいね!ではでは。